AI活用

AIチャットボットを入れる前に見直したいこと

問い合わせ対応をAIで自動化したい、という相談が増えています。

たいてい、話はチャットボットから始まります。サイトの右下によく出てくる、あの吹き出しです。24時間答えてくれて、人手も要りません。導入事例を見ると、対応時間が大きく減ったと書いてあります。

ところが、同じチャットボットを入れても、うまく回る会社とそうでない会社に分かれます。

分かれ目は、チャットボットの性能ではありませんでした。入れる前のホームページの状態にありました。この記事を読み終えるころには、チャットボットに飛びつく前にどこから手を付ければいいかが分かり、費用のわりに効果が出ない、という失敗を避けられるはずです。

「問い合わせの自動化」は一つの手段ではない

まず、言葉を整理しておきます。「自動化」と一口に言っても、指しているものが人によって違います。

主な手段は4つあります。

  • チャットボット:サイト上で質問に自動で答える。よくある質問への一次対応に向く
  • FAQページ:質問と答えを一覧にしたページ。そもそも問い合わせを減らす役割
  • 自動返信メール:フォーム送信直後に届く受付メール。返答ではないが、放置されている場合が多い
  • AIによる返信の下書き:届いた問い合わせへの返信文を、AIに下書きさせる。ツールを増やさずに始められる

この4つは、どれか一つを選ぶものではありません。順番があります。チャットボットは、いちばん派手ですが、いちばん後に来ます。

なぜそう言えるのか。ここから、入れる前に見直したい土台の話に入ります。

AIを入れる前に、サイト側で崩れているもの

チャットボットは、サイトにある情報を元に答えます。だから、元の情報が整っていなければ、答えも整いません。ここが見落とされやすいところです。

見直したい土台は、3つあります。

問い合わせフォームの項目

フォームの入力項目が多すぎると、送信の前に離脱されます。逆に少なすぎると、返信のために結局こちらから聞き直すことになり、往復が増えます。

「名前・メール・用件」の3つで足りることも多いものです。電話番号を必須にしただけで送信率が下がる、というのはよくある話です。まずは、いま必須にしている項目を一つずつ見て、本当に最初の一通で要るものかを確かめたいところです。

FAQページがあるか

同じ質問が繰り返し来るなら、その答えはFAQページに載せておけます。問い合わせを自動で「答える」前に、問い合わせ自体を「減らす」ほうが先です。しかも、後でチャットボットを入れるとき、このFAQがそのまま回答の元データになります。FAQのない状態でチャットボットだけ入れると、答えの材料がないまま動かすことになります。

自動返信メールの文面

フォーム送信の直後に届く受付メール。ここが「お問い合わせありがとうございました」の一行で止まっている会社は多いものです。返信までの目安(何営業日以内か)、急ぎの場合の電話番号、よくある質問へのリンク。この3つを受付メールに入れておくだけで、「返事はまだか」という二度目の問い合わせが減ります。AIも要りません。文面を直すだけです。

3つとも、AIの話ではありません。サイトの作り方の話です。チャットボットを入れて効果が出た会社は、たいていこの土台が先に整っていました。順番が逆だと、高いツールで薄い情報を配ることになります。

費用の目安

土台が見えたところで、費用の話に移ります。手段によって幅が大きいところです。

  • 決まった選択肢を出すタイプ(シナリオ型):初期費用なし〜、月額は無料から数万円ほど
  • AIが文章を解釈して答えるタイプ:月額でおよそ3万円から15万円
  • 生成AIで自由に応答するタイプ:月額15万円以上になることが多い

数字には幅があります。同じ「チャットボット」でも、扱う質問の数、社内文書を読ませるかどうか、対応チャネルの数で価格が変わるからです。他社が月3万円だったから自社もそのくらい、とは言いにくいところです。

ここで一つ、上のどの層にも入らない選択肢があります。AIによる返信の下書きです。既存のAIサービスの無料から数千円の範囲で、届いた問い合わせへの返信文を下書きさせます。ツールを新しく契約しなくても、明日から試せます。件数が少ないうちは、これで十分なことが多いものです。

何件の問い合わせから、導入の元が取れるか

では、いつチャットボットに進むべきか。判断の目安は、問い合わせの「件数」と「重複」にあります。

月に数件しか来ないなら、チャットボットは過剰です。その数件は人が返したほうが速いですし、丁寧でもあります。月額数万円のツールを、月数件のために動かす計算は合いません。

目安として、同じような質問が月に何十件も来ていて、その一次対応に人の時間が明らかに取られている。この状態になって初めて、自動で答える仕組みの元が取れ始めます。自社がその段階かどうかは、フォームの受信履歴を1か月分見れば分かります。同じ質問が何件重なっているか。それが判断材料になります。

急がなくて構いません。土台を整えてFAQを充実させると、問い合わせの総数そのものが減ります。減ったうえで、それでも重複が多い質問だけをチャットボットに任せます。この順番だと、投資が小さく済みます。

入れた後に、たいてい起きること

チャットボットを入れて終わり、にはなりません。ここが導入前に見落とされやすいところです。

最初のうち、チャットボットは的外れな答えを返します。想定していなかった聞き方をされたり、載せていない情報を聞かれたりするからです。放っておくと、「使えない」と判断されて誰も使わなくなります。

必要なのは、答えを更新し続ける担当を決めておくことです。詳しい人である必要はありません。月に一度、チャットボットが答えられなかった質問を見て、FAQに追記する。それだけで精度は上がっていきます。更新する人を決めずに入れると、性能に関係なく数か月で形骸化します。これは、ツール選びの巧拙とは別の問題です。

順番を、逆から組み直す

最初の話に戻ります。同じチャットボットで会社が分かれたのは、性能の差ではありませんでした。入れる前の順番の差でした。

整理すると、手を付ける順番はこうなります。

  1. 問い合わせフォームの項目を見直す
  2. よくある質問をFAQページにまとめる
  3. 自動返信メールの文面を整える
  4. 届いた問い合わせは、AIに返信を下書きさせる
  5. 重複する質問が明らかに多くなってから、チャットボットに任せる
  6. 答えを更新する担当を決める

チャットボットは、この6番目にあたります。いちばん目立ちますが、いちばん最後で構いません。逆から始めても動きはします。ただ、土台が薄いままだと、費用のわりに効果が出にくいのです。

問い合わせの自動化は、新しいツールを買う話に見えて、実際にはホームページそのものを整える話です。フォーム、FAQ、受付メール。この3つは、AIを入れても入れなくても、直しておいて損はありません。

AIホームページ工房では、ホームページの制作と、その先のチャットボット導入の両方を月額の中で扱っています。いまのサイトのどこから手を付けるべきか整理したい場合は、サービスの内容もご覧いただけます。相談は無料です。

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